育毛鍼灸

東洋医学を知る

お世話になっております。

鍼灸師の前田です。

本日は東洋医学とは何なのかというお話をさせていただきます。

私が東洋医学のお話をすると

「東洋医学なんて胡散臭い」「本当に効果があるのか?」

など疑問を持つ方も多いのが現状です。

西洋医学が主流の現代ではこの気持ちは非常に理解できます。

そのため、少しでも「東洋医学」というものをご理解頂ければと思い、今回は書かせて頂きます。

 

ではいきます。

 

・東洋医学とは

我々の身体に備わっている自然治癒力を高めて、不調や病気を治療するという医学になります。

2000年以上前に中国大陸で生まれ日本に渡り独自に発展してきたという歴史があります。

治療法には、鍼灸治療をはじめとして按摩、漢方薬、薬膳などが挙げられます。

 

 

・西洋医学と東洋医学の違い

大きな違いとして挙げられるのは、患者様が抱えておられる病気への対応になります。

西洋医学は病原を中心に診ますが、東洋医学は全身のバランスを診て治療を行います。

「バランス?」「はぁ????」と思いますよね。

ここが違うために腰が痛いと鍼灸院へ行っても足に鍼をされたりするんですね。

あくまで個人的意見ですが、「今すぐにでも治したい」と急がれる場合などは、やはり薬物療法の方が良選かなとは思います。

しかしながら、何事も善し悪しがございます。

下記の表にまとめてみました。

西洋医学 東洋医学
診るところ 病原が中心 全身のバランス
得意な分野 感染症や手術が必要な病気 不定愁訴(=気のせいと思われる症状)や予防医学
メリット すぐに効果を感じやすい 副作用の心配がない
デメリット 副作用の心配がある 改善までに個人差がある

ご覧頂いた通り、西洋医学は薬や注射・手術といった方法で、身体のの悪い部位や原因となるウイルス等を直接排除するというアプローチです。

一方、東洋医学は心と身体全体のバランスを整え、自然治癒力の働きを補助し、不調やその根本原因をからだの内側からアプローチします。

ではここで皆様の疑問として、

結局のところ東洋医学と西洋医学、どちらがいいの?

というお話ですが、どちらのアプローチにもメリット・デメリットはそれぞれあるため、どちらが良い・悪いというのは一概には言えないのが本音です。

その人の症状に合わせて両者を上手く使い分けていくことが望ましいと私前田は考えます。

 

 

では次に、

身体のバランス」っていうけど、実際のところ何をするの?というお話です。

最初に東洋医学においての基礎知識を説明せせて頂きます。

 

・東洋医学の基礎知識 ~3つの概念~

東洋医学は皆様が経験したことがある身の回りの出来事や、自然界の変化・現象の仕組みを基にして、人体に置き換えた考え方になります。

 

1.津液

まずは、我々の身体を巡っている生命のエネルギ―「気・血・津液」について説明します。

東洋医学の観点では、人体の働きはこの3つの物質によって構成されていて、これらが体内を循環することによって生命活動を維持していると考えられています。

  • 気 … 生命活動を維持する中心的な役割
  • 血 … いわゆる血液。人体に不可欠な栄養物質
  • 津液 … 体内の水分の総称。全身を巡り、潤いを与える役割

「気・血・水」は常にからだを循環しているものになるので、そのバランスが崩れて循環が滞ったり、不足したりすると、内臓がうまく機能せず不調や病気を引き起こすと考えられています。

また、3つの物質それぞれがバランスを取り合っているため、1つの物質が崩れると他の2つにも影響を及ぼすことが多いです。

2.

次に紹介する「陰陽論」とは、自然界のあらゆるものは「陰」「陽」という対立する2つの性質で成り立っているという考え方になります。

身近なものを陰陽に分類すると次のようになります。

太陽
男性 女性
熱い 寒い
背中

いかがでしょうか?

何となく分らんでもないという感じでしょうか。

ただし、陰陽は常に同じというわけではありません。

例を挙げると、男性(陽)も活動的なとき(陽)もあれば休むとき(陰)もあり、

女性(陰)もまた同じです。

これらを「陽中の陰」「陰中の陽」と言います。

それを表したのが太極図です。

▼太極図

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この図をどこかで見たことあるという方もおられるのではないでしょうか。

また、昼から夜に移り変わるように、陰陽は一定のリズムで変化し、どちらか一方が増えすぎるなどはなく、バランスを保ちながら安定していると考えられています。

「太陽と月」のように、例えば身体の「内と外」、「背中と腹」も互いにバランスが重要であるという理論になります。

 

3. 五行

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「五行論」とは、この世のあらゆるものを「木・火・土・金・水」という5つのどれかにあてはめることができるという考え方です。

  • 木 … 草木が芽をだし、万物が生じる様子を象徴する
  • 火 … 万物が成長しやすく、火が燃えている様子を象徴する
  • 土 … 万物を育てる母なる大地を象徴する
  • 金 … 金属の固さや鋭い性質を象徴する
  • 水 … 湧き出る水を意味し、地の中にあって万物を生み出す源を象徴する

また、5つの要素は相生、相克の関係でバランスを保つと考えられています。

  • 相生 … 特定の要素を生み育てる関係
  • 相克 … 特定の要素を抑制する関係

これらの考え方を元に自然と人体の関係性を分類したのが以前のブログでも書かせて頂いた「五行色体表」です。

人間の五臓を中心として、関係が深い季節や身体の部位、病んだときに表れる症状などがまとめられています。

五臓 五腑 季節 気候 部位 感情
小腸
長夏 湿
大腸 乾燥
膀胱

五行色体表は基本的に横に見ていきます。例えば、「肝」の病症が出やすい季節は「春」で、「風」は外感病(風邪のような症状)を引き起こしやすく、

「目」のかすみや充血といった症状が表れ、「怒」りやすくなるといった具合です。

このように五行論は、「気・血・水」や「陰陽論」の概念とともに東洋医学の診断や治療でよく用いられる基本的な考え方です。

 

・東洋医学のからだの捉え方|五臓六腑とは?

 

食べ物や飲み物が内臓全体に行き渡るような感覚を「五臓六腑に染み渡る!」と表現することがありますよね。

あれは、単純に内臓のことを示しているわけではないことはご存じでしたか?

「五臓六腑」とは、内臓名だけでなくそれぞれの役割や機能を含んだ広い意味を持つ東洋医学の言葉です。西洋医学の内臓器官の分類とは少し異なります。

五臓 六腑
  肝 血の貯蔵や管理を行う

精神活動をつかさどる

   胆 胆汁を蓄える

決断力をつかさどる

  心 五臓六腑を統括する

血を全身に送る

   小腸 胃で消化された飲食物を水分と残りカスに分ける
  脾 飲食物の消化吸収をつかさどる

血液が体外に漏れないようにする

栄養を全身にめぐらせる

   胃 飲食物の初期消化を担当し、消化した飲食物を小腸に送る
  肺 呼吸運動で新しい気を取り込む

体の表面をつかさどり、外邪の侵入を防ぐ

気や水の流れを調節する

   大腸 小腸から受け取った残りカスから水分を吸収して便として排出する
  腎 水を統括して、尿を作り膀胱に送る

生殖、成長、発育をつかさどる

生命力の根源

   膀胱 余分な体液を尿として貯留し、排尿する
三焦 臓腑を治め、主に水分代謝に関与する

※三焦は機能だけあって実体はないと言われています。

五臓六腑は東洋医学において「臓腑経絡論」という人体のしくみに分類され、

「気・血・水」、「五行論」と深く関わっています。

特に、「気・血・水」の生成や運搬は、臓腑同士が密接な関係をもって行うため、ひとつの臓に異常が表れると、他の臓や腑に影響が出ることもあります。

・経絡、ツボとは?

五臓六腑に繋がっている「気」の通り道を経絡)と言います。

53_sinkyu_4

 

 

そしてその経絡上にある気が集まるスポットを経穴=ツボといい、我々の身体に全361箇所あると言われています。

ツボは不調が表れやすいと同時に治療のポイントでもあるため、鍼灸治療や按摩はこのツボを刺激して気の流れを良くし不調や病気の改善を促します。

 

 

いかがでしたでしょうか?

今回は東洋医学についての基礎知識をお話させて頂きました。

これだけでも「難しいなぁ」と感じた方も多いのではないでしょうか。

前田も初めは大嫌いでした。

しかし東洋医学は非常に奥が深いです。

ですが、理解が深まれば結構面白い考えになります。

皆様も興味がございましたら、是非東洋医学に触れてみてください。

長くなりましたが、最後までご清覧ありがとうございました。

 

前田

 

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