お世話になっております。
鍼灸師の前田です。
今回は以前のブログでも書かせて頂いた
「鍼灸治療が自律神経のバランス調整に効果的」というお話になります。
なぜ、自律神経のバランス調整が必要なのかは以前のブログにてご説明させて頂いておりますので、是非ご確認してみてください。
それではいきましょう。
まず最初に、東洋医学に基づいた鍼灸治療では、自律神経のバランスが乱れたからといって特別な治療をするわけではではありません。
ほかの症状と同様に、東洋医学の理論に基づいて診断し、治療をしていきます。
しかし、東洋医学的に考えると、それは「陰陽バランスを整えて気血のめぐりやはたらき改善し、自然治癒力を高める」と説明出来ますが、どこか理解し難いと思います。
我々鍼灸師にとっても東洋医学を完璧に説明するには難しいことです。
それなのに、いきなり東洋医学の話を押しすすめても理解が難しいと思いますので、
今回のブログでは、鍼灸治療をすることで、身体にどのような反応が起きて自律神経の乱れが整うのかということについて、
現代医学的な目線からご説明させて頂きます。
・乱れとは
自律神経が乱れると言うのは、交感神経と副交感神経の緊張のつり合いに異常があることを指します。
交感神経が過剰に興奮したり、副交感神経の活動が弱かったりして、交感神経と副交感神経の緊張が適正な範囲から外れてしまっています。
すると、様々な症状が現れ、全身の血流が悪くなるなどの悪循環に陥ります。
そのため、自律神経の調整とは、どちらか片方の神経が強いもしくは弱いといった状況を平衡にすることを指します。
鍼灸治療は、自律神経に直接作用ことで、一時的に症状を抑え、身体が回復しやすい状態にすることうを目的としていきます。
・なぜ自律神経失調症に鍼灸は効くのか?
自律神経が乱れた際の鍼灸治療では、体性―自律神経反射という人間の反射機能を利用します。
これは、人間の皮膚への刺激に自律神経が反応することで起こるものです。
具体的には、治療する経穴(ツボ)や鍼の刺し方・打ち方などを使い分け、交感神経と副交感神経を興奮させたり抑制させたりして、乱れた自律神経バランスを整えるのです。
例えば、背部への刺激は交感神経を興奮させ、手足(四肢末端)への刺激は副交感神経を興奮させるとされています。
東洋医学の理論に基づいて治療をすると、体幹部と手足にバランス良く鍼や灸をすることで、乱れた交感神経と副交感神経のバランスが平衡になっていきます。
交感神経と副交感神経の興奮が乱れなければ、症状も緩和されます。
ここでいう症状とは、育毛で言うと、「交感神経は血管を収縮させるため、血液による栄養の供給が非効率になる」、
日常的に言うと、「眠れない」といった不眠症状などです。
治療を重ねていくと、交感神経と副交感神経の興奮が適正な範囲におさまる時間も増え、症状が現れにくくなります。
全身の血流も良い状態が保たれるようになるので、体も回復しやすい状態になっていきます。
自律神経調節について深堀したお話はこちらから
上述でも書かせて頂いた、「陰陽のバランスを整えて気血の流れをスムーズになると、自然治癒力が高まる」というのを、現代の言葉に当てはめると
交感神経と副交感神経のバランスを整えると(=陰陽のバランス)
全身の血流が良くなり、代謝や内臓の機能も良くなるので(=気血のめぐりやはたらき)
体が回復しやすい状態になる(=自然治癒力が高まる)
ということになります。
最後になりますが、自律神経の乱れからから回復するためには、鍼灸治療だけしていたら治るというわけではありません。
なるべくストレスがかからないような生活を送ったり、意識的に休息をとるようにしたり、規則正しい生活リズムを心がけることが重要となってきます。
しかし、乱れていれば乱れるほど、自力で改善を目指すのはとても大変なことです。
鍼灸治療では患者様のサポートが出来るので、生活改善をする上でも大きな力になれるかと思います。
今回は大まかな内容になりましたが、今後もっと深くお話できればと思います。
最後までご清覧ありがとうございました。
前田
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